「知っていますか?」
今日も、彼女は意味深に声をかけてくる。

今週の神無月さんその8

小さい頃からしょっちゅう、「犬を飼いたい、犬を飼いたい」なんて駄々をこねてきた覚えがある。それも、ふわふわしたかわいい小型犬じゃなくて、レトリーバーみたいな大型犬。いつの日か、彼らの背中に乗ってみるのが夢だった。

時間は流れ、わたしも年を取り。

出会う喜びよりも、最後の別れの哀しみをより意識してしまうほどには大人になってしまった。

その瞬間、私は私でいられるのだろうか。

無邪気な夢を抱いていたあの頃が、夜空に散る星のように輝きながら、確実に遠ざかっていく感覚に襲われる。そんな、7月の初めの日の夜。

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